アジサイの観賞




8,本当の花〜両性花〜

〜ツボミ〜
   
左から山アジサイの紅、黄金葉山、下野白、西洋アジサイの紫式部のそれぞれの両性花を拡大した写真である。両性花は開花すると色のバリエーションが少なくなるが、ツボミの時期は非常に色彩豊かで青色や紫色をはじめ、赤色や黄色なども見受けられる。品種によっては開花後の方が装飾花とのバランスが良くなるものもあるが、ツボミの時期の方が美しい品種が多い。


〜開花期〜
   
左から山アジサイの村娘、ガクアジサイの恋する乙女(仮名)、アメリカアジサイのホワイトドーム、紫式部のそれぞれの両性花を拡大した写真である。ここでは開花後も両性花が美しい品種を並べてある。上の写真にある村娘のようにコントラストが良いものや、ホワイトドームのように色ムラのないものは開花後もきれいなものが多い。また雄しべの葯が開き花粉が出た方が美しくなるもの、そうでないものなど、一番きれいな時期は品種によってそれぞれ違う。


〜結実した両性花〜
 
左から山アジサイの藍姫、済州島の結実した両性花をそれぞれ拡大した写真である。両性花はうまく受粉すると一つ一つが膨らんできて内部に種子ができる。受粉から3〜4ヶ月で成熟する。


〜八重咲き品種の両性花と脱落の関係〜
   
左から山アジサイの乙女の舞、美方八重、西洋アジサイのダンスパーティーのそれぞれの装飾花を拡大した写真である。そして一番右側は両性花が脱落した七段花錦である。これらの品種に共通して言えることはどれも装飾花が八重咲きであるということ。そして装飾花が八重咲きの品種の多くは、両性花の雄しべや雌しべが未発達であったり、退化していたりして自然に結実することはあまりない。また、株が小さかったり栄養状態によっては、両性花は装飾花が発達する前に茶色く変色し脱落してしまう。一番右の七段花錦の写真で茶色に見える部分は脱落する直前の両性花である。


〜ガク・花弁の発達する両性花〜
  
左から山アジサイの横浪の光、ガクアジサイの隅田の夢、西洋アジサイの舞孔雀のそれぞれの両性花を拡大した写真である。これらの両性花には他の品種には見られない大きく発達したガクや花弁がある。特に横浪の月と横浪の光の両性花はガクが装飾花のガクのような形になり、第二の装飾花のようになっている。


〜ツボミで見る清澄沢と青覆輪清澄沢〜
 
左から山アジサイの清澄沢、青覆輪清澄沢である。この二種は名前からも想像できるように、覆輪の色が違う以外はほとんど性質が変わらない品種である。清澄沢特有の春先に葉が烏葉で展開する性質も同じ。開花すれば違いが出るのは一目瞭然のことだが、実際はよく観察すれば両性花ができはじめた頃に区別がつくのである。清澄沢のツボミは覆輪の色と同系色の赤色に、青覆輪清澄沢の方はこれまた覆輪と同系色の紫色になるのである。
 
上の写真のように装飾花と比較すると、両性花と覆輪の色が関連しているのがよくわかる。